特殊工程とAMS2750

特殊工程とAMS2750-航空機品質を支える“見えない信頼”

特殊工程とは何か

製造業における「特殊工程」とは、完成後に製品を破壊せずに品質を直接確認できない工程を指します。代表的な例として、熱処理、溶接、めっき、塗装、非破壊検査などがあります。
たとえば熱処理は、内部の金属組織変化によって強度や靭性を得る工程ですが、外観では良否が判断できません。
そのため、工程そのものの管理・記録・校正が品質保証の中心となります。
航空機業界ではこの考え方が特に厳格で、「特殊工程の管理=信頼性の根幹」とされています。

AMS2750とは―航空機熱処理の国際標準

AMS2750(Aerospace Material Specification 2750) は、米国SAE(Society of Automotive Engineers)が定めた、熱処理プロセスの温度管理・測定・校正の標準規格です。
この規格は、ボーイングやロッキードなど航空機メーカーの要求基準の基礎となっており、熱処理を「特殊工程」として扱う際の“信頼の物差し”です。

AMS2750の目的:「熱処理炉の温度精度を保証し、すべての製品が一貫した条件で処理されることを証明する」

主な要求内容

熱電対管理(Temperature Sensor) 種類・使用回数・補正・校正の基準
計装機器(Instrumentation) 制御・記録装置の分類・精度・校正
熱処理炉(Thermal Processing Equipment) 炉構造・使用温度・均一性の基準
SAT(システム精度試験) 記録計と実測温度の誤差確認
TUS(温度均一試験) 炉内温度分布の測定と許容値
試験炉(Laboratory Furnace) 試験用炉の校正と運用基準

これらを満たすことで「どのロットも同じ条件で確実に処理された」ことを証明できます。

航空機分野で求められる“見える管理”

航空機部品の熱処理は、「一度のミスが命に関わる」分野です。
そのため、設備・測定機器・作業員・記録すべてを可視化・トレーサブル化することが求められます。

そこでファインテックでは、AMS2750の要求に基づき以下の管理を行っています。
 ・炉の温度均一性試験(TUS)を定期的に実施
 ・熱電対のロット管理・校正を厳格に運用
 ・校正証明書・処理記録をトレーサビリティ確保のために保存
 ・校正は外部認定機関によるトレーサブルな方法で実施

ファインテックは、単なる「熱処理業者」ではなく、航空機仕様の特殊工程事業者としての信頼性を確立しています。

特殊工程における“管理”が品質を決める

航空機メーカーやTier1企業では、特殊工程の認定(Process Approval)が非常に重要視されています。
この認定では、単に製品の性能だけでなく、次の点が監査対象となります。
 ・温度制御システムの再現性
 ・作業員の資格・教育記録
 ・校正証拠書類の整合性
 ・試験データの保存とアクセス性
つまり、「工程を信頼できるかどうか」が品質そのものになるのです。

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